侵食し、蝕み、腐食させる不気味な大国・中国 日米同盟の「変わり果てた姿」予見+(1/5ページ) - MSN産経ニュース
SANKEI EXPRESS 政治部専門委員 野口裕之 2013.7.8 10:13


記事要旨


・米国・民主党寄りの大手シンクタンク・カーネギー国際平和財団は《2030年の中国軍事力と米日同盟/戦略相対評価》という研究報告書を5月に公表した。
・報告書は、超党派の実務エキスパート9人が数年かけ作成した力作で、15~20年後の日米両国のアジア・太平洋地域における安全保障や日米同盟を予見する。
・報告書は、複数の仮説を併記しながらも、《日本の国防力や日米同盟がもたらす抑止力をも圧倒する軍拡を背景に、日本との紛争・競合を、軍事力行使を経ずに中国が求める形で徐々に『侵食』し、有利に決着してしまう》可能性が高いと結論づける。
・報告書は、米国の中国への適切な対処法を定めかねて、ベクトルの違う3つの方向性を示している。
・戦略的『均衡』の変化を最も痛感させられるのは、自らの安全保障を米国との同盟関係に長年依存してきた日本である。
・(安全保障や日米同盟を非常に重視する)安倍政権でさえも、財政難や政治的麻痺により、自国の安全保障の底上げや対米協力強化には限界がある。
・しかし《日米両軍の役割・任務激変》も有り得る事態ゆえ、《政治的障害が予見されようが、日米両国は政治・軍事面での新政策を真剣に講じなければならない》。
・《日米両国が中国の大軍拡に効果的に対処せねば、東アジア全体での深刻な政治・軍事危機を招き、同盟が弱体化し、地域全体の安定を『侵食』する》。
・以上の報告に対し、筆者は『日米同盟が死活的である現実を、米国の専門家が認識している文脈ともとれる。それでも尚、米国の歴代知識・指導層が陰日向に抱いてきた中国への「憧れ」は続く』と結ぶ。

『米国の歴代知識・指導層が陰日向に抱いてきた中国への「憧れ」』が何を指しているのかは、別の機会に改めて調べたい。


中国に対抗する決定打がないということは、日米同盟という枠組みの限界を示しているといえる。つまり米国は日本を守りきれないので、米国としては別の枠組みを模索せざるをえないことが透けて見える。
日本としては、自らが大きく脱皮するか、日米を超えたさらに大きな枠組みを探さねばならないということだ。

まず現状維持が不可能であるという前提に立つと、以下のプランが考えられる。
  1. 引き続き、米国に軍事的に依存しながらも、他の枠組みを模索する。
  2. 米国から軍事的に独立する。
    • 2-1 韓国と同様、中国の勢力下に移行する。
    • 2-2 米国と真のパートナーとなり、中国に対抗する。
    • 2-3 米国とともに東南アジアの安全保障に強調介入し、中国の侵食を阻止する。
    • 2-4 米国にインドを加えた三カ国により、東南アジアの安全保障に強調介入し、中国の侵食を阻止する。
1のままでは、米国にとって日本が「お荷物」であることには変わりない。現状、米国のみで東アジアから東南アジアの安全保障を担っているようなものなので、米国はその負担の大きさに耐えられず、日本や東南アジア諸国が譲歩せざるを得ない可能性がある。
これがまさに《軍事力行使を経ずに中国が求める形で徐々に『侵食』し、有利に決着してしまう》という事態であろう。

としては2を目指すことになる。2-1のみ若干毛色が違うが、一旦中国の勢力下に入ってしまうと、チベットのように何をされるかわからないので、1以上に避けたい選択肢である。

2−2は、米国から軍事的に独立していることから、報告書における日本についての悲観的な想定よりもかなり改善されているため、じゅうぶん中国に対応しうる内容となっているのではないだろうか。

2−3、2−4はさらに大きな枠組みを求めるもので、冷戦期のソ連包囲網と同様に中国包囲網を形成することを目的としている。したがって、日本は「米国のお荷物状態から脱すれば」将来は明るい。


もちろん、日本にとって最大の障壁は「米国から軍事的に独立する」ことである。
どのようにしてこれに至るかは改めて検討したい。